「無意識に与えられた環境の慣習が自分にとっても当たり前の価値観になっていることがある」北鎌倉の起業家・町塚俊介が語る意識の世界

−今の活動を教えてください。

人の意識がどのように成長していくか、というのを体系化した発達心理学という学問があります。一番著名なのだとマズローの欲求階層説とかですね。マズローは人の欲求がどのように発達していくのか、ということを書いていますよね。私がバックボーンにしている成人発達理論は大人、成人の意識がどのように発達していくのか、ということを体系化した学問です。成人発達理論によると70%の人が受動的段階、環境依存・他者依存的な段階にいると言われています。良い悪いではなく、環境依存・他者依存的な段階はどういう段階かというと、人の期待に応えたりとか、自分の所属している環境の慣習・ルールに従うのが自分である、というような段階です。イメージすると「いい大人」「いい日本人」の人たちはこの段階のイメージにあたると思います。それはそれですごい大事なことで、「人の期待にどうやって答えるか」というのを合理的に考えていく非常に大事な他者を慮る力がつくし、それに答えるためにどうしたらいいか?と考える “How” の力も付きます。

町塚さんが運営する北鎌倉のシェアハウス「いえいえ」にて

−組織の人間として仕事をしていく中で発展させることのできる力がある、ということですね。

はい。ただ一方で、時代的に意識の在るべき姿が変わってきているとも思っています。例えばトヨタのような大企業が終身雇用をやめたりとか、最近では国の2千万円問題とかがありますよね。「大きな環境や大きな組織に属していればいい」という世界観、個人が組織に貢献して、その結果個人も組織も豊かになる、というパラダイムが崩れてきていると思っています。大きな組織にもできないことがある。だから、個人に自律が求められてきています。それこそVUCAとかもまさにそれを表現するような世界観ですよね。その中で、不安にかられている個人とか、絶望感や焦燥感を持つ個人、もしくはなんかちょっと違和感を感じているんだけど、でもどうしたらいいかわからない、というような人が沢山いると思います。そういうような人たちが「外にある答え」に順応するんじゃなくて、ちゃんと「自分の内側にある答え」に気づいていき、自信を持って自分の人生を歩んでいくことができるようになる、そんな支援をしています。

−発達段階的に言うとそれはどのような支援になるのでしょうか。

発達段階的に言うと、「他者依存・環境依存的な段階から自己主導段階になる」という変容です。これは端的に言うと「自分のものさしを持つ」ということですね。

自分のものさしを持つために必要な様子は沢山あります。「自分が感じている事をあるがままに感じていいし、表現していいんだ」というような自己受容感とか、所属している環境が固定的ではなく多面的かどうか、とか。無意識に与えられた環境の慣習が自分にとっても当たり前の価値観になっている、ということは結構ありますよね。

でも、例えば「インドの子育てと日本の子育ては全然違う」ということはインドに行かないとわからない。インドに行くことによって「どっちも選べる」ということが分かる。それによって環境依存性から離れていくことができるんですね。

そういった発達段階が環境依存・他者依存から自己主導になっていくために必要な要素を5つに体系化した本「つながりの力で自分の人生を生きる ~成人発達理論を実践する5つの旅~」を書いています。

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