夢を実現する脳の仕組み

脳に組み込まれたRASという仕組み

脳には様々な目標を達成する RAS というシステムが組み込まれています。RAS というのは人間の脳幹にある網様体という神経の集まりのことです。身体の生命活動を維持する働きをしています 。RAS がなければ人間は生きていくことができません。例えば呼吸をしたり、一定時間眠ったら目を覚ましたり、体中に血を巡らせたり、心臓を一定のリズムで動いたりしているのも RASが働いているからです。

よく目標や夢を紙に書き出すとそれが本当に実現すると言われますよね。祈ることや潜在意識にある一定のイメージを送ることによってその願いが叶ったりする。これらの現象は、 RAS によって科学的に説明されています。

RASは自分にとって重要な情報とそうでない情報を仕分ける働きをしています。 RAS は脳に入るほとんど全ての情報をスクリーニングしています。脳に入ってくる情報の中でどれが重要でどれが重要でないか(どの情報をシャットアウトして脳に届かないようにするか)を判断しています。

脳は重要な情報とそうでない情報を取捨選択している

別の記事でも書きましたが、私たちはこの世界をありのままに体験しているわけではないようです。どういうことかと言うと、脳に送られている情報のうちのほとんどは意識的に認識されることはなく、無意識が処理しているのです。例えば今あなたの視界にはあなたの鼻の先が入っているはずです。あるいは今椅子に座っているとしたら、お尻で椅子から受ける抵抗を感じています。立っているのであれば地面から受ける抵抗を足で感じています。ですがそういった感覚というのは、今この文章を読んでいるあなたにとって重要ではないので顕在意識に上らないのです。他にも例えば、電車の中でたくさんの広告を見ても、自分にとって重要でないほとんどの広告は視界には入っているものの自分の意識には登りません。

カクテルパーティー効果というものをご存知でしょうか。沢山の人がいてガヤガヤとうるさいパーティーの中でも、自分の名前が呼ばれたらその名前は聞こえてしまうという現象です。これも RAS が一役かっています。他のグループや他人がしている会話というのは自分にとって重要ではありませんが、自分の名前は自分にとっては非常に重要なので RAS が「これは重要ですよ」と脳にその聴覚情報を送るのです。

あるいは車を買った時のことをイメージしてもいいかもしれません。例えばあなたが BMW を買ったとしましょう。すると、街中に BMW が溢れ出します。それはどういうことかと言うと、あなたが BMW に意識を向けるようになったということです。これまでと街を走っている BMW の数は変わらないのですが、あなたが BMW に意識を向けるようになったことによってあなたの世界に BMW が増えたのです。このように RAS は脳が何に意識を向けるかということについて絶大な力を持っています。

すべての始まり

これまで多くの偉人たちが「すべては心から始まる」ということを言っています。仏教の開祖であるブッダは「あなたは考えたものになる。それ以外のものになることはない。」と言いました。 マザーテレサは「思考には気をつけなさい。それはいつか言葉になるから。」から始まる有名な一節を残しました。 第16代ローマ皇帝であり、ローマの哲人だったマルクス・アウレリウスは「頭の中を一日中閉めているものは、いずれその人自身になる」と言いました。偉大な心理学者のアドラーウィリアム・ジェームズも心がその人の運命を決めるということを言っています。それを今、科学者たちは RAS という脳の仕組みで説明しているのです。

以前コーチングの記事でも書きましたが、夢や目標を追いかける時、初めから「どうすれば実現できるか “How” 」を分かっている必要はありません。重要なのは「何を実現したいか “What” 」です。「どうすれば実現できるか」という具体的な事については、RAS がたくさん情報を集めてくれます。ですが99%の人は「どうすれば実現できるか」ということが分からないという理由で、夢や目標を追いかける事を諦めてしまいます。

RASがあなたの夢や目標を重要だと認識したら、それ以外の多くの情報はあなたの脳にとってノイズとなります。本当に達成したい夢や目標がある人にとって、例えば特定多数の人から言われる批判だったり悪口というのは全く気にならなくなります。それはその夢・ないし目標を達成するのに重要な情報ではないからです。

 夢を実現するための習慣

RAS にあなたの夢や目標を重要であると認識させるのに有効な手段の一つとして、「紙に書く」というのがあります。紙に書くことによって人間はその夢や目標を頭の中の思考世界から客観的に見える外の世界に外在化し、現実感のあるものとして捉えるようになります。

夢や目標を紙に書き出したら、それを何度も眺めるようにします。1日に一回眺めてもいいですし、何日かおきに眺めてもいいでしょう。それを継続して、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月経っても、半年経っても、1年経っても達成したい夢や目標なのであれば、それはあなたが本当に実現したい夢や目標なのだと考えていいでしょう。もし一週間や2週間、あるいは1ヶ月程度で「やっぱりこの目標は達成しなくてもいいや」と思うのであれば、それはそれで意味があります。紙に書き出しそれを眺めるという行為を取ることによって、あなたが達成したいと思っていた夢や目標が本当は自分にとってそれほど重要ではないということが分かったからです。自分にとって本当に重要なわけではない夢や目標に人生の時間を費やすことを避けることができます。ですから、いずれにしても夢や目標を紙に書き出しそれを眺める、という行為をすることはあなたの人生にとって重要なことであると思われるのです。

人間は「自分にはできっこないよ」という思い込みを持っていて(これをリミティングビリーフと言います)、「実現したいか、したくないか」以前に「できるか、できないか」という基準で自分の夢や目標を決めようとしてしまいます。ですが、全てのミーティングビリーフは思い込みに過ぎません。多くの人が、誰かが「俺は総理大臣になる!」と言ったら、「そんなこと無理に決まってんでしょ」と反射的に思ってしまうのではないでしょうか。ほとんどの人が自分の基準で他人や自分の夢を「できる、できない」と判断し、自分を含めた多くの人の夢を潰してしまいます。ですが、10年後、20年後の未来のことについて今のあなたの脳が認識していることが絶対に正しいと本当に言い切れるでしょうか?

自分の叶えたい夢や目標が一個である必要はありません。むしろ1つだけだとその夢や目標が「自分にとって違う」ということが分かった時、とてつもなく大きなダメージを受けてしまいます。むしろ夢や目標は10個でも20個でも30個でも、沢山持っていた方がいいのです。

この時に重要なのは「少しでもやってみたいと思ったら書き出すこと」です。それはどんなことでも構いません。一万人に聞いて尋ねたら1万人が「そんなのできるわけないだろ」ということでもいいのです。「あなたがやってみたいこと」「あなたが達成したいこと」を書き出します。別に書いたからといって、すべてを実行する必要はありません。もしかしたらそれは3年後に「こんなこと書いていたなぁ、今は少しこれに割く時間ができたからやってみようか」と思うことがあるかもしれません。

重要なのは「書き出したことはすべて実行しなければならない」と思わないことです。とりわけ真面目な日本人は、「言ったことはやらなければならない」「書き出したことはやらなければならない」「決意したことは最後までやりとげなければならない」と思ってしまいがちです。夢や目標を書く際には、 そういった前提は取り払いましょう。書いたからといって必ずしも実行しなくたっていいのです。

そして、そのリストは誰にも見せないように。大きな夢や目標を掲げると、必ず「そんなの出来っこないだろう」という人が現れます。あからさまに悪意をもって言ってくる人はそもそも関わらなければいいでしょうが、多くの場合「そんなの出来っこないだろう」という人はあなたのことを心配して善意から言ってくれるのです。 善意から心配してアドバイスをくれることはありがたいことではありますが、そういった人たちと「できるか、できないか」という話し合いをすることを避けるためにも、自分が書き出した夢や目標を他人に見せるのはなるべく避けましょう。「この人だったら見せていい」という人だけに見せるようにしましょう。

私はこの習慣を持って、半年くらい経った頃からでしょうか、大きく人生が変わり始めました。「今自分がやっている仕事は、自分が本当に人生の時間を費やしたいことではない」ということがだんだんと明らかになってきました。自分が本当にやりたいことや、大切にしたいことが分かるようになってきました。 今では自分が人生をささげたいと思えることに時間を費やすことができています。「夢や目標、やりたいことを全部紙に書き出し、それを眺める」。この習慣をことであなたが損をするということはないでしょう。 この習慣をもつことであなたの人生が大きく変わるということはありえるでしょう。

ぜひ、試してみてください。