刺激を求めて暴走する脳の性質を理解しよう〜人が苦しむのは脳が作り出す思考と感情による現象

人間は言葉の前でいとも簡単に我を失う

人間は言葉の前でいとも簡単に我を失います。誰かに「あなたは頭の悪い人ね」「仕事のできない人間め」「あんたみたいな人は嫌いだ!」などど言われようものなら、誰もがその言葉に傷つき苦しむことでしょう。人間がそういった言葉から影響を受け、苦しむような性質を持っていることは確かなようです。ですが、それは本当のところは一体何によって苦しんでいるのでしょうか?

上記のようなことを他人から言われた時のことを考えてみましょう。

あらゆる固定概念を取り払ってそこで起きている事象をただ観察するなら、ある人間の脳に「あんたみたいな人は嫌いだ!」と言いたくなるような思考が発生し、その後その人間の声帯が「あんたみたいな人は嫌いだ!」という振動を空気中に発生させるような動きをし、その動きに伴い「あんたなんか嫌いだ!」という音として人間に認識される空気の振動が発生し、それが自らの鼓膜を振動させてそれを脳が認識している、という一連の現象が起きているだけなのだということがわかります。

たったこれだけの現象が、なぜここまで人間を苦しませるのでしょうか?空気の振動が私達を苦しませるのでしょうか?

いいえ。私達を苦しめるのは唯一、私達の意識に生じる思考と感情なのです。思考と感情だけが唯一、私達を苦しめる存在なのです。

人を苦しめるのはその人の脳が作り出す思考と感情

「あんたみたいな人は嫌いだ!」という言葉を通して私達は発言者が私達のこと嫌っていると認識します。私達の中にまどろんでいるエゴは「私は非の打ち所がない、立派な人間なのだ!」とか、「私だけは他人と違って特別な存在でありたい」とか、「自分の考えていることは、いつも正しい」といった具合に他人に非難されることを前提としていません。

たとえ表面上どれだけ良い人そうに見える人であっても心の奥深い部分にはそのようなエゴが眠っているので、非難された時には奥深くに眠っていたエゴが呼び覚まされて(程度の差はあれ)苦しむことになります。

そして、そのエゴを形成しているのは思考なのです。

「私は○○で☓☓な、立派な人間なのである」という、思考が作り上げた自己イメージなのです。その自己イメージに反する認識が私達の意識に生じた時、私達のエゴは苦しむのです。

脳の性質を理解する

思考は包丁と一緒で1つの道具です。上手に使うのであれば、私達が人生を生きる上で非常に有用な助けとなってくれることでしょう。しかし、使い方を誤ると私達をひどく傷つけます。

人間の脳は沢山の刺激をインプットしたいという衝動にかられており、思考はその衝動を実現しようとする動きをします。一度「あんたみたいな人は嫌いだ!」といった類のネガティブなことを言われると、その思考を何度も反復することによってネガティブな刺激を繰り返し脳にインプットしようとします(本当は苦しんでいるのにもかかわらず)。

そういった暴走する脳の性質を理解し、自分の意思とは関係なく勝手に生まれてきては私達を苦しめる思考をただ観察することができるようになったら、苦しみが減ってくることでしょう。