「自分自身の本質を生きる」マハリシ総合教育研究所理事・小林拓さんに聞く瞑想の世界

−今の活動を教えてください。

はい。TM(超越瞑想)という瞑想法の価値を多くの方にお伝えするという活動をしています。

−TMというのはどういった瞑想法なのでしょうか。

心の最も深いレベルを体験できる瞑想法です。顕在意識と潜在意識というのがあって、最も深いレベルに純粋意識があります。これはヒマラヤの聖者達がずっと知っていた領域で、 この領域を活性化させることで日常生活で活動のパフォーマンスをあげたりとか、より生き生きとした状態で生活することができます。ビートルズも学んだということで良く知られているマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーというヒマラヤの聖者がいます。超越瞑想はマハリシが世界に紹介した瞑想法です。いま世界で650万人以上の人がやっていて、110カ国以上で教えられています。 日本でTMを教えているのがうちの団体(一般社団法人マハリシ総合教育研究所)です。

−瞑想法にも色々な種類がありますが、TMが他の瞑想法と違う点を教えてください。

TMでは心の自然な性質を使って心の最も深い部分を体験することが出来るので、努力や集中、心のコントロールといったことが必要ない、という自然で快適な方法です。心をコントロールしたり、集中したりすると、「私が」何かをしている、というレベルに留まってしまいます。私たちがTMで体験したいのは「私が」何かをしている、 “Doing”  のレベルを超えていって  “Being” のレベルに到達する、これがTMの目的なんですね。聖者たちは 真我を体験して“Being” のレベルを生きることが大切だと伝えています。「(私が)何かをしている」かぎり、純粋意識に到達しないんです。

伝統的な瞑想法であれば、基本的にはどれも純粋意識に到達することを目指しているのですが、例えば集中法だと「集中している対象と自分が一体化する」というレベルまで完全な集中状態を完成しなければならないので、非常に大変なんですね。TMでは心の自然な性質に基づいて純粋意識へ到達するので、とても簡単です。例えば勉強をするということ1つとっても、好きなことを勉強してる人はほっといても勝手に好きなだけ勉強してその分野を究めていくのですが、自然に反したこと(=やりたくないこと)をする場合は「努力」になるわけです。これは心の自然な性質に反しているので、大変です。TMは努力を必要とする修行法ではないんです。

− “Being” のレベルに到達するとどのような変化が起こるのでしょうか?

様々な変化があるのですが、まず “Being” というのがどういう状態かというと「ただ満ちている」状態と言えます。通常人間が満足を感じるのは美味しい物を食べた時や遊びに行った時、なにかの活動で成功した時など「外側から何かを得る」時です。ですが、自分自身の本質である純粋意識はそれだけで至福であり、ただ満ちているのです。自分自身の源に戻っている状態、とも言えます。その状態というのは最も深い安らぎの状態、心がクリアな状態でもあります。その状態を体験すると日常生活のパフォーマンスも高まってきます。何をする時も安らいでいて心がクリアな状態に保たれている。日々の活動におけるパフォーマンスを最大限高めてくれるので、世界中のセレブリティや著名人たちがこぞってTMを活用するわけです。一流の人であればある程その価値にすぐ気づきます。ゾーン、フローと言われる状態を再現するために効果的だということに気づくのでTMを取り入れるのですね。

もう1つ、人生というスパンでTMを捉えた時に言うと、自分自身の本質のレベルを体験するということは「自分自身がどう在りたいか」に気付いていく過程でもあるんです。心の最も精妙な、微細なレベルを体験していくことで、その人そのままを生き始めます。「本当の自分らしさ」に気付いていくんですね。それは自分自身の使命に気づくことでもあります。それも思考のレベルで気付くこととは全く違うんです。「私はどのように生きたいのかな?」というのを考えることによって知ることは困難です。色々思考のレベルで考えて、「いま世間ではこういうのが流行っているから、じゃあ自分はこういうことをやろうかな」というのは必ずしも自分自身の本質から湧き出た選択ではありません。それがいけないわけではありませんが、本質のレベルから自分の使命に気付いていくことが重要です。その上で、「その生き方をどうやって実現させていくのか?」ということを考える道具として思考を使ってもらいたいと思っています。それが本当の意味での自分軸を確立すること、無駄のない人生を送るための鍵です。「自分は何をしたいのか?するべきなのか?」という問いに対して答えを出すのは思考の役割ではありません。

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