グロースマインドセット−人間の基本的資質はどこまでも伸ばすことができるという心のあり方

今日はグロースマインドセットという概念についてご紹介したいと思います。

グロースマインドセットとは社会心理学を専門とするスタンフォード大学のキャロル・ドゥエック教授によって提唱された概念です。

マインドセットとは

まず、そもそもマインドセットとはどのような概念なのかご説明します。マインドセットとは、「経験・教育・先入観から形成される心理状態や思考パターン」のことを言います。例えば価値観や信念など、その人の前提となっているものです。この思い込みのことを「パラダイム」とも言い、新たな経験などによってその思い込みに気づき、思い込みが変化することを「パラダイムシフト」と言います。

グロースマインドセット

上記のようなマインドセットという概念にグロースがついたグロースマインドセットとは、「成長マインドセット」「しなやかなマインドセット」とも言われており、「自分の才能や能力は経験や努力によって向上できる」という考え方のことです。グロースマインドセットを持つことで、5つの壁にぶつかった時にその状況を肯定的に捉えることができるとキャロル氏は言っています。

1.【挑戦】の壁にぶつかったとき

→【Embraces】喜んで受け入れる

2.【障害】の壁にぶつかったとき

→【Persists】乗り越えるまでやる

3.【努力】の壁にぶつかったとき

→【No pain, No gain】努力をすれば必ず成長できる

4.【批評】の壁にぶつかったとき

→【Learns from】他者の批評から学ぶ

5.【他者の成功】の壁にぶつかったとき

→【Be inspired by】他者の成功を刺激にする

このような思考が生まれることで、「積極的に挑戦する」「自主的に努力する」「集中力が上がる」「忍耐力が上がる」「目標を成し遂げる」などの効果が得られます。

フィックストマインドセット

その反対に、グロースマインドセットと対になるフィックストマインドセットという考え方があります。フィックストマインドセットとは「自分の才能や能力は、努力をしても向上しない」という固定的な考え方のことです。フィックストマインドセットを持ちながら課題に取り組むと、5つの壁にぶつかったときにその状況を否定的に捉えるようになるとキャロル氏は言っています。

1.【挑戦】の壁にぶつかったとき

→【Avoids】挑戦したくない

2.【障害】の壁にぶつかったとき

→【Loses focus】障害はどうにもならない

3.【努力】の壁にぶつかったとき

→【Views as fruitless】努力してもどうせ無駄になる

4.【批評】の壁にぶつかったとき

→【Ignores】自分への批評は聞きたくない

5.【他者の成功】の壁にぶつかったとき

→【Views as a threat】他人の成功は脅威である

このような思考が生まれることで、「挑戦しない」「努力しない」「不正でごまかす」「自分よりできない人を探す」「フィードバックをもらいに来ない」などの行動を取る可能性が高まります。

グロースマインドセットへの移行

今どのようなマインドセットを持っているかということについては、これまでの経験や育った環境、接してきた人などによる影響が大きいと思います。重要なのは今自分がどのようなマインドセットの傾向があるのかではなく、それを理解しグロースマインドセットに移行することだと思います。

グロースマインドセットは年齢を重ねるにつれ移行しずらくなるそうです。中学生や高校生は信念体系や価値観がまだ成熟されていないため比較的容易にグロースマインドセットに移行することが可能ですが、社会人のような大人は既にフィックスドマインドセットを持っていることが多く、中学生や高校生に比べパラダイムシフトを起こすのが難しいようです。

だからこそ私は意識的にグロースマインドセットを持つよう心がける必要があると思います。他人や状況がそのようなマインドセットにしてくれるのを待っているのではなく、自分からグロースマインドセットを作り上げる意識が必要だと思います。

「朱に交われば赤くなる」で、組織の中でグロースマインドセットを持っている人の割合が多くなればその影響を受けてそうでない人のマインドセットも変容してきます。グロースマインドな人によって構成されるグロースマインドな組織は「挑戦する」→「乗り越えるまでやる」→「乗り越えられるよう努力する」→「他者のフィードバックから学びを得る」→「他者の成功に刺激を受ける」→「挑戦する」・・・という成功のサイクルが回っていくのだと思います。